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だいぶ昔の土曜日。剣七とTは、千葉県の某店にいた。ヒマだったから小旅と言う、いつものスタンスだ。 「なあ、Tよ。コンドルがあるぜ」 「DDTとハズシでガッポリいただくとするか(目押しレベル低)」 「でもよ、こういう店ってよ、俺達みたいな物好きで持ってるようなもんだよな」 「・・・確かに」 案の定と言うか設定は1の雰囲気を醸し出しており、引いては飲まれの繰り返しであった。 その時私の台に「左上段青・右上段鳥」という小役ハズレorスイカコボシの目が出現した。 いわゆるトイレ目という奴である。 ちょうど尿意を催していた私は「フラグ立てといて」とTに言い放ち、トイレに向かった。 装飾がピンク色という、いかにも小奇麗なパチ屋が考えそうなデザインを眺めつつ用を足した。 ちなみに私は個室派である。洋式便所なら尚更だ。 誰にも邪魔をされずに放尿したいのだ。 だから即座に気が付くはずの「違和感」にも気が付かずにいた。 コインの汚れも伴っている手は異常に汚く、いつもより念入りに手を洗っていたその時 突如オバチャンが入って来た。向こうは相当驚いていた様だが、私も突然の闖入者に驚愕した。 数秒の沈黙が永遠に感じられたが、オバチャンは退散していった。当然である。 私が先客なのだ。 のんびりと乾燥機で手を乾かし、ブツブツ言いながら席に戻った。パターンが出ていた。 「やっぱ入ってたか(嘘)。なあTよ、とんだ目に逢っちまったぜ」 「どうした?オヤジに一晩いくらだとか聞かれたのか?」 「それは望む所なんだが・・・手を洗ってたら、突然ババアが入って来てな」 「・・・そりゃ災難だ。で、一晩いくらだったんだ?」 「・・・」 しばらくして、Tもトイレに行くと言い出した。場所を聞くので教えてやった。 戻って来たTが言った。 「なあ剣よ。念の為に聞いておきたいんだが・・・さっきあの便所に入ったのか?」 「当たり前だ。わざわざ他の便所を探すほどヒマじゃないしな」 「そうか。ちなみにあれは女便所だ。男便所は反対側にあったぜ」 「・・・」 「そりゃババアも入ってくるわけだ。ははは」 「・・・」 今考えてみれば、あの便所には「縦型の放尿便器」が無かった。 その後、そのパチ屋には行っていない。 |
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